コピーライターの仕事

コピーライターの仕事ってなに?
いまさらの話かもしれませんが、ちょっと思うところがあり、あらためて問いたい。
あのね、ライターって「言葉を書くこと」だけが仕事ではないんですよ。
むしろ、言葉を書くことは全体のウェイト的には3割とか4割とか、そんなもんです。

セミナーでも毎回申し上げているんですが、モノやコトを説明するための表現には「組み立て」が大事です。
説得には効果的な順序というものがある───いや、それについては皆さんのほうがご存じでは? 上司に報告したり、お客さんに営業したりする際、皆さんも考えてますよね? 「こっちより、このことを先に言ったほうがいいな」とか。
広告宣伝も基本は同じです。

キャッチフレーズで、まずバーンと言おう。
メインビジュアルの写真はこれを使って。
大きなメリットを3本柱的にまとめて箇条書きで語ろう。
細かいスペックは下のほうでまとめとけばいいや。

そういう、表現の「こんな感じ」をコピーライターが最初に整理しないと、デザイナーはデザインできない。
もちろん例外はありますよ。デザイナーのほうが商品情報に関して詳しいとか、デザイン先行で進めたほうが都合がいいとか、デザイナーがベテランで、コピーのことをコピーライター以上によくわかっているとか、そんなケースとかもありますんで。
だけど、そうでない場合は、コピーライターがある程度主導して「組み立て」する工程を設けておかないと、たいがい、ロクなものができません。
というか、「組み立て」がコピーライターの仕事の5割くらいを占めている。本来はね。組み立て5割、書くこと4割、残りの1割が校正とかの付帯業務、って感じでしょうか。

こないだも、出先の街で「これはコピーライターを関わらせずにつくった印刷物だな」とわかる、かなり残念なチラシを見かけました。
商品自体は画期的で独自性が高く、多くの人に関心を持ってもらえそうなポテンシャルを備えているのに、それがほとんど伝わってこない。
ビジュアルはともかく、言葉がダメダメ。キャッチがキャッチになってない。商品の説得はダラダラメリハリがなく、ちっちゃな文字を狭い行間でギッチリ組んであって、読みにくいったらありゃしない。てか、読む気しない。
なんでそうなっちゃうのかというと、組み立てを疎かにしてデザインしたからです。

悲しいことに、最近、こういう「ライター不在」の広告が多いです。
制作予算の関係でしかたがないのでしょうけれど、せっかく広告をつくっても、モノのよさがユーザーに伝わらないのでは、それこそお金の無駄遣いだという気がするんですがね。